『XCOM2』はやり込み甲斐が半端ない! “没入感”を高めることで、さらに進化したストラテジーゲームの魅力にプレイ動画もふんだんに交えながら迫る
文・取材・撮影:編集部 古屋陽一
●『XCOM2』の気になる新要素をチェック
2015年12月8日、韓国・ソウルにて、2KのPC用ゲーム『XCOM2』のアジア地域を対象としたプレゼンテーションが行われた。
『XCOM2』と言えば、2012年にリリースされるや高い評価を受けてきたターンベースのストラテジーゲーム『XCOM: Enemy Unknown』の続編。
今年の6月にその存在が明らかにされるや、世界中のファンからアツい注目を集めてきた。
当然のこと、関係者の気合いの入れかたも相当なもので、発売元である2Kおよび開発元のFiraxis Games(フラクシス・ゲームズ)では、2016年2月5日の全世界同時リリースを控えて、世界各地で順次プレスツアーを行ってきた。
そのアジア地域を対象にしたプレゼンが、ここ韓国・ソウルで開催されることになったというわけだ。
プレゼンには、地元韓国はもとより、日本、中国、香港、台湾のメディアが参加して行われた。
プレスツアーは、開発元であるフラクシス・ゲームズのアート・ディレクター、グレッグ・フォートッシュ氏によるプレゼンとインタビュー、ハンズオン(試遊)という3本柱で行われたのだが、ここではその一部始終をリポートしていこう。
※『XCOM2』のアート・ディレクターに聞く!“自動生成”を筆頭にすべての点で進化したストラテジーの意欲作
まずは、アジア向けのプレスツアーに合わせて公開された日本語版トレーラーからお届けする。
対エイリアン組織である“XCOM(エックスコム)”と、エイリアンとの戦いが描かれた前作『XCOM: Enemy Unknown』。
20年後を舞台にした『XCOM2』では、XCOM vs.エイリアンという対立軸は踏襲しながらも、その構造は正反対になっている。
前作では、“エイリアンが人類に侵略する”というストーリー上の要請から、人類が防御側でエイリアンが攻撃側だったのに対して、本作では、人類が攻撃側で、エイリアンは防御側になっているのだ。
それもこれも『XCOM2』では、人類はエイリアンの軍勢に無条件降伏してしまっているからだ。
人類が敗れているとはなんともショッキングな展開だが、「『XCOM: Enemy Unknown』では、ほとんどのプレイヤーが“負け”を経験していることから、人類が敗れた歴史のほうがリアリティーが感じられるのではとの判断から決定しました」とは、フラクシス・ゲームズのアート・ディレクター、グレッグ・フォートッシュ氏。
たしかに、超絶的な難易度の高さを誇る『XCOM: Enemy Unknown』では、何度も何度も失敗を重ねながらゲームを進めたプレイヤーも多かったことと思われるが、何となく雰囲気的には、負けのほうがしっくりくるのかもしれない。
人類が敗れた未来で、エイリアンが地球支配のために設立したのがアドヴェント政府。
いわば傀儡政府のようなものか。
表向きはキレイな理想を掲げるアドヴェント政府に対して、レジスタント組織であるXCOMがその陰謀を暴いていく……というのが、本作のストーリーラインとなる。
SFファンならずとも、大好物な状況と言えるだろう。
さて、肝心のゲームプレイに関しては、「『XCOM2』にはふたつの局面があります」とフォートッシュ氏は言う。
“戦略”と“戦術”だ。
“戦術”とは、言うまでもなく個々のステージにおけるXCOMとエイリアンとの戦い。
まあ、ゲームプレイにおけるキモと言っていいだろう。
では、“戦略”とは何かというと、プレゼンではあまり詳細は語られなかったので、半分推測を交えて書かせていただくが、“戦術”を有利に運ぶための立ち居振る舞いのようなものか。
わかりやすい例を挙げると、ほかの地域の仲間とコンタクトを取ることで、情報を入手できる……といった具合だ。
さらに言えば、本作から新たに導入された“インテル”というポイントがある。
プレイヤーは、この“インテル”を使うことで、エイリアンの隠された陰謀“ダークイベント”を覗き見ることができるようになるのだ。
「エイリアンがこんな陰謀を画策しているから、このミッションを成功させて敵の出鼻をくじいておこう」といった戦略が立てられるようだ。
「戦略のパートはオープンエンドで先が読めません」(フォートッシュ氏)とのことで、戦略性と戦術が相まって、相当深みのあるゲームプレイが満喫できそうだ。
そんな戦略および戦術の要となるのが、XCOMの移動司令部である“アヴェンジャー”。
このアヴェンジャーで、プレイヤーは、新武器の開発をしたり、兵士を育成したり、新たな戦術を獲得したり……と、ゲームプレイに関するすべての指示を出していくことになる。
まあ、ゲームプレイの“司令部”と言ってもいいだろう。
移動基地なんていうと、記者も子どものころいろいろと夢想して楽しんだものだが、それがゲームでしっかりと実現されているのだから、まったくもってワクワクとしてしまう。
ここで、フォートッシュ氏のプレゼンは、ゲームプレイの要ともいうべき、XCOMの兵士の説明に。
本作における兵士のクラスは5種類。
現時点では明かされているのは、グレネード兵、狙撃兵、遊撃兵、技術兵の4種類。
当然のこと持てる武器はそれぞれ異なり、スキルツリーで獲得できるスキルも個別だ。
フォートッシュ氏が強調したのは、兵士のカスタマイズの幅広さ。
フォートッシュ氏いわく「これまでになかったくらいのレベルでのカスタマイズが可能」とのことで、外見のパーツなども相当数用意されている。
「自分だけのキャラクターを作り上げることで、さらなる没入感を促します」とフォートッシュ氏。
カスタマイズの幅広さという点で言うと、武器もすごい。
先述の通り、武器は兵士のクラスごとに個別に用意されており、アップグレードおよび見た目の変更が可能。
後のデモプレイで確認したところ、カラーバリエーションだけでも100種類近く用意されており、「自分だけの武器を作り込める」というフォートッシュ氏の言葉に偽りはなさそう。
ベースは同じ型から派生した武器も、作り込み次第で性能までまったく異なるというから、なお一層の愛着が湧きそう。
ちなみに、本作では武器に関してある仕掛けが。
『XCOM2』では、バトルフィールドで倒されてしまったキャラクターは生き返ることがないというシビアなゲーム設計なのはご存じの通りだが、倒された兵士が持っていた武器も、回収しないと使えなくなってしまうというのだ。
武器を回収するには、死んでしまった兵士を基地まで持ち帰る必要がある。
“喪失してしまうことの辛さ”。
兵士だけではなく、武器にもそんな感情が湧き上がってくるのだ。
『XCOM2』をプレイするときは、プレイヤーはさらに慎重を期してゲームを進めることになるかも。
プレゼンでは、フォートッシュ氏の口からバトル面での新要素が紹介された。
まずは“潜伏”。
XCOMのメンバーはゲーム開始時は“潜伏”状態で敵の拠点に近づき、攻撃していくことになる。
ただし、「ステルスモードとは違います」とフォートッシュ氏はいう。
「ナチュラルに隠れて、エイリアンに奇襲をかける」(フォートッシュ氏)のだという。
“潜伏”は、XCOMがレジスタンスになるというストーリー設定の兼ね合いもあり採用されたシステムかと思われるが、ゲームプレイ冒頭においては、XCOMの兵士がいかに敵に気づかれずに有利なポジションを確保していくか……がカギを握りそうだ。
そして、ある意味で“潜伏”と切っても切り離せない関係にあるのが“監視”。
こちらは、兵士を“監視”状態におくことで、兵士が敵に発見されたら即座に攻撃を仕掛けるというフィーチャー。
“監視”自体は、『XCOM: Enemy Unknown』でも採用されていたが、“潜伏”とセットになることでさらに強化されたようだ。
“潜伏”から有利に攻撃を進めるためには得難いシステムと言える。
そしてもうひとつが“ハッキング”。
こちらは技術兵のスキルを活用してのフィーチャーで、敵のシステムにハッキングして成功すると、フィールドでの戦いを有利に進めることができたり、レアなアイテムを入手できるようになる。
たとえば、「ハッキングに成功したら、クリティカルの確率が上がる」といった具合だ。
ただし、ハッキングに失敗すると敵が有利になるというデメリットもある。
実際のところ記者はハンズオンのときにハッキングに失敗して敵勢力が増強。
あっという間に敵勢力に全滅させられてしまった。
ハッキングの成功はパーセンテージで表示されているので、使いどころを注意したいところだ。
最後に、“大切なものは最後にとっておく”とばかりに紹介されたのが、本作における重要な機能である“自動生成”だ。
そう、本作のフィールドは自動生成で形成されており、プレイする度にマップの形状が異なるのだ。
何度遊んでもプレイのフィーリングが異なるので、プレイごとに新鮮な気持ちで臨めるのだ。
これも、ハンズオン時のこぼれ話になってしまうのだが、記者はこの自動生成を確認するために、同じミッションを2度挑戦してみたのだが、1度目のトライでは比較的楽勝だったものが、2度目のプレイではいいようにエイリアンにあしらわれてしまった(1回目のプレイで成功したハッキングが2回目は失敗したというのも大きかったかも)。
同じミッションでもプレイの度に印象が変わる。
「リプレイ性を高めたい」とフォートッシュ氏は発言していたが、『XCOM2』は相当に遊び甲斐のあるゲームになりそうです
●オープニングから没入感がすごい
というわけで、フォートッシュ氏によるプレゼンの後は、ハンズオンへ。
まず遊ばせてもらったのがチュートリアル。
チュートリアルはふたつ用意されているようで、最初のチュートリアルは、“まさに『XCOM2』の世界観に慣れる”といった体のもの。
とはいえ、「チュートリアルだから気を抜いてもいいや」ということはなくて、『XCOM2』では、チュートリアルもストーリーの“序盤”として機能しているので、ぐいぐいと引き込まれる。
オープニングムービーで人類の敗北とアドヴェント政府の樹立が語られた後は、プレイヤーはXCOMの歴戦のツワモノとして、ビルに侵入して“とあるモノ”を奪うというミッションを任されることになる。
もちろん、そのビルはエイリアンたちが防御しており……ということで、いきなり『XCOM2』のテーマであるゲリラ戦を体験することになる。
プレイヤーがここで学ぶのが、“潜伏”や“監視”、“ハッキング”といった新要素の数々。
ことにたまらないのが“潜伏”で、いかにエイリアンに気付かれずに目的物まで近づくかで、ドキドキすることになる。
もちろん、遅かれ早かれ接近を気づかれるのは当然のこととはいえ、その難易度の高さゆえ、シビアなゲームプレイを求められる本作では、ちょっとの違いが勝敗を分ける。
ということで、少しでも有利なポジションを確保しようと思うと、“潜伏”にも緊張感がつきまとうというわけだ。
ちなみに、本作では兵士の移動ルートは赤い線で表示される。
“潜伏”状態にあると、エイリアンの視界に入る場所は赤く表示されるので、「ここを通ると敵に見つかるから、こっちのルートから行こう」といった判断を下すことも可能だ。
ひとつめのチュートリアルがガイダンス的な位置づけだったのに対して、ふたつめのチュートリアルでは、4人でチームを組んでいよいよ出動することになる。
表現は的確かどうかわからないが、本格的なチュートリアルといったところだ。
もちろん、チュートリアルといってもそこは『XCOM2』なので本番仕様。
歯応えがあってひと筋縄ではいかない。
ミッション名は“神聖な救世主作戦”で、目的は動力コンバーターの回収だ。
このチュートリアルには、決められたターン数内でミッションをこなさないと動力コンバーターが破壊されてしまうという“ターン数制限”があり、「強敵だからじっくり腰を据えて戦う」という心構えを許してくれなくなる。
本作ではこうした“ターン数制限”のあるミッションも多いようだが、バトルもよりスリリングなものになりそうだ。
ふたつのチュートリアルを体験した後は、ゲーム中盤のミッションをプレイすることができた。
「本格的なミッションの醍醐味を味わってほしい」という制作陣の配慮のようだが、ミッション前にキャラクターのレベルアップや武器のアップグレードの一端を確認できた。
先述の通り、「これまでになかったくらいのレベルで可能」(フォートッシュ氏)というだけあって、外見の変更からスキルの獲得、昇進によるレベルアップなど、キャラクターの成長&カスタマイズは本当に種類豊富。
武器のチューニングも楽しく、まさに“自分だけのキャラクターと武器を作れる”という言葉に偽りはなさそう。
キャラクターや武器に愛着が湧くがゆえに、失ったときの喪失感もひときわ……ということで、そんな点からも、開発陣が重視していた“没入感”がさらに促されるのだろう。
チュートリアルの後で楽しめたのは、ミッション“War Hand”。
目的は、施設内のPCにアクセスすることだ。
ここで記者は、プレイの序盤で端末に接触して“ハッキング”に成功。
攻撃力をアップすることで、戦いを有利に進められた。
とはいえ、“ハッキング”は賭けのようなもので、失敗すると戦況を不利にしてしまう。
やはり“ハッキング”を使う際は慎重を期したいところだ。
プレイしていて気付かされたのは、敵となるエイリアンのバラエティ豊かさ。
その攻撃方法は多岐にわたっており、死んだ味方をゾンビ化したり、電撃棒で近接攻撃を仕掛けてきたりと多彩。
コブラをモチーフにしたエイリアンなどは、遠距離にいる兵士を絡め取って自分の近くに引き寄せ、麻痺状態にしてしまうなど、本当にうざかった(もちろん、いい意味で)。
プレイヤーを飽きさせない魅力的なエイリアンも、本作で特筆すべき点と言えるだろう。
高い評価を得た『XCOM: Enemy Unknown』から、さらに進化を遂げた『XCOM2』は、ストラテジーゲームファンならずとも、じっくりと楽しめる1本と言えるだろう。
以下、プレイ動画にて、ゲームプレイの一連の流れを紹介しよう。