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『STEEP』インタビュー ウィンタースポーツゲーム復活のワケと音作りへのこだわりを聞く

 【25//2017】

『STEEP』インタビュー ウィンタースポーツゲーム復活のワケと音作りへのこだわりを聞く


●情熱あふれるAnnecy Studioのスタッフを直撃
広大な銀世界のオープンワールドで、スノーボード、スキー、ウィングスーツ、パラグライダーの4種類のエクストリームスポーツを楽しめる『STEEP』。
本作が持つ魅力や開発の経緯などを、クリエイティブディレクターのIgor Manceau氏らにうかがった。

そうだ アラスカ、行こう。
『STEEP』新マップ“アラスカ”を紹介、制作スタジオUBI Annecy Stuidoにも潜入取材
――オープンワールドを採用した理由を教えてください。

Igor Manceau氏(文中はイゴール)前提としてあったのが、「ユービーアイソフトで、またウインタースポーツを作りたい」という思いです。
その際“新鮮で、まったく新しい経験を提供できるものを作りたい”と考えたときに、オープンワールドを発想しました。
プレイヤーが滑りかたや滑る場所を選択できるようにしたいというのは、最初から考えていましたね。
『STEEP』の世界には山があり、山に入ると好きなところに行けて遠くが見られます。
「自分は自由だ」と感じていただけると思います。
もちろんゲーム内なので限界があるのですが、基本どこへでも行けます。
自由に滑る感覚は、プレイしたときに新鮮に感じていただけると思います。

――この企画を会社に通すのはたいへんだったのではないですか?
イゴールこの分野のゲームにふたたびトライすることは、クリエイティブ上でもビジネス上でもリスクが伴います。
新しいものを提供できることを証明するのは難しかったですね。
対象となるプレイヤーを見つけて、ビジネスとして成立するかどうかも証明しなければなりませんでした。
結果として、会社は受け入れてくれただけではなくて、積極的にプッシュしてくれました。
まずは、山に関するクリエイティビティー、つまりどこにでも行けて、好きなスポーツを選べて、プレイヤーが自己表現できるところが評価されたんです。
そして、つぎにチームの情熱が認められました。
この情熱は、とても重要なポイントだったようです。

――ちなみに、情熱を維持する秘訣は?
イゴール難しい質問ですね(笑)。
ひとつには、自分たちを信じることです。
スキーやスノーボードはもちろんのこと、私たちスタッフのほとんどが山が好きなので、それが大きな動機づけになっています。
あとは、スタジオヘッドが話していたとおり、本作は自分たちだけで作る初めての作品なので、“自分たちのもの”という意識も大きなモチベーションになりました。
新しいIPを作るというのはたいへんな仕事で、すべてを作らなくてはいけませんが、一方でワクワクすることでもあります。
『STEEP』は、まずは小さなプロジェクトとしてスタートしましたが、経営陣の判断により、ある時期からより大きなプロジェクトになったこともあり、私たちもモチベーションと情熱を持ち続けることができたという一面はあるかもしれません。
ゲームをリリースするのはとてもたいへんですが、ルノーはとてもがんばりました。
(『STEEP』が発売されたあとも)情熱はまだ維持していると思います。

Renaud Person氏(文中はルノー)“仕事”であることは間違いないですが、ユニークなものを作る一端を担う絶好の機会でもあり、そのためには自分の持っているものをすべて注ぎ込みました。
まあ、ときに辛抱も必要になりますが(笑)。

イゴール開発当初に経営陣にプレゼンして、とても評判がよかったことで力づけられましたね。
その後、E3 2016でプレスカンファレンスに出ましたが、あんな華やかな場所で発表できるなんて、当初はまったく想像もしていませんでした。
そういったことでもテンションが上がりました。

――E3で発表すると注目度も高まりますしね。

イゴールああ、そうだ!ゲームをプレゼンするのがたいへんだったというお話をしましたが、追加させてください。
10年ほど前に、アメリカのESPNでスノーボードを放送していましたが、まだ小さい市場でした。
しかしいまは、Redbullチャンネル(Redbull TVのことかなあ)などが、スノーボードなどのスポーツコンテンツに力を入れていて、多くの視聴者を獲得しています。
GoProでの配信も大人気です。
それを見て、ゲームを出すいい機会だと思ったということはありますね。
コンテンツがたくさんあるにも関わらずゲームがなかったので。

――GoProはゲーム中にも取り入れられていますね。

イゴールクリエイティブ面からも、GoProやRedbullに、ゲームの一部になってもらいたいと思ったんです。
いまやGoProやRedbullは、ウインタースポーツの一部になっているからです。
GoProなどを導入したのは、リアリティーのためもありますが、マーケティングにも役立っています。
私たちはもちろんですが、彼らもソーシャルメディアに力を入れているので、お互い協力してさらに大きな波を起こしたかったんです。

――プロアスリートや企業と協力して制作したようですが、彼らからはどのようなフィードバックをもらっているのですか?
イゴール3社とパートナーシップを結んでいます。
そのうちの1社がここからほど近いところにオフィスを構えるSalomon社です。
スノーボードやスキーのフィジックス(物理演算)についての知識を共有してもらいました。

――そのほかのメーカーとのコラボは?
イゴールスキーやスノーボードのメーカーとパートナーシップを組んでいます。
ゲームの中で商品を使用するというパートナーもいますが、マーケティングや開発にも協力してもらったパートナーもいます。
Salomon社とは、より密接にデザインやテクノロジーについても協力してもらっていますよ。

――発売されて数ヵ月経ちますが、ユーザーからの反響を教えてください。

イゴールとてもよい反応をもらっていてうれしいです。
プレイヤーが違う遊びかたをしているのに驚いています。
私たちが想像したものとは、異なる行動をしていますね。

ルノーたしかに!想像していた以上に、クリエイティブな動きをすることに驚きました。

――わたしは実際にスノーボードをよくするので、ゲームでも最初はスノーボードでひたすらトリックをキメて遊んでいましたが、いまはのんびりと登山ごっこをして遊んでいますね。

イゴール想像してた以上でしたね。
チャレンジをし続けてうまくなる人もいますが、山を探索して新しい道を発見する人が予想以上に多かった。
まさに、ひとりで山やマップに立ち向かうという感じです。

ルノーそういう方たちのために、オープンワールドにはいろいろなものを隠しています。
歩いたり、飛行したりして、いろいろなところに行けるんです。

――ところで、4つのスポーツでいちばん人気があるのは?
イゴールダントツで遊ばれているのがスノーボードですね。
つぎにスキー、ウイングスーツ、パラグライダーの順ですね。

――ほかのスポーツを追加する予定はありますか?
イゴール“シーズンパス”の発表時に“ソリ”の追加を発表しています。
ウィンターフェストパックの中にも勿論ソリは入っています。
日本ではどうなのか分らないのですが、ヨーロッパでは好きなコスチュームを着て、おもしろいレースやイベントに参加するウインターフェスティバルがあって、“ウインターフェスト”ではそのイベントをフィーチャーしています。

ルノーつぎのダウンロードコンテンツは、“エクストリームパック”で、ロケットウイングとベースジャンプ、スピードパラグライディングの3つが追加されます。
スピードパラグライディングはウイングが小さいので、ウイングスーツと同等のスピードが出せます。
スキーも付けているので低空では雪面にタッチします。

イゴールちなみに、“エクストリームパック”には“チェーンアビリティ”というものがあります。
最初はスキーで滑り、スピードパラグライディングで崖から飛び降りて飛行、その後着地してスキーでそのまま滑るんです。
つまり、崖が邪魔をして行けなかったところもスムーズに探索できるようになります。
山の中に新しいルートを発見できるんですね。
“チェーンアビリティ”は、この機能をサポートしているチャレンジでのみ使用可能です。
“エクストリームパック”の配信日は未発表ですが、ぜひ楽しみにしていてください。

――『STEEP』では、モンブランやマッキンレーなどの名峰が収録されていますが、山の自動生成などは検討していないのでしょうか?
イゴール自動生成ではありませんが、実はオリジナルの山はアルプスの中の南西部にあるんですよ。
ある条件を満たさないとアンロックできない、“秘密の山”ですね。
巨大なうさぎやアイスマンモスがいます。

――隠し要素みたいなものですかね。

ルノーとはいえ、基本は実在の山をモチーフにしています。
私たちのDNAにあるのは、実在するもっとも美しい山々から刺激をもらって山を作ることです。
実在の山からインスピレーションを感じて作る。
それが山への情熱ですね。
実際にある山から何かを感じて、それを超えるものをプレイヤーのために形作ることがおもしろいんです。

――山が生き生きとしているので、動物がいたらさらにリアリティーが増しそうですが……。

イゴールその通りです。
いつかは追加したいと思っているのですが、いまはまだできていません。

――では、Nintendo Switchでの発売が発表されましたが、ふたつのJoy-Conでの操作方法はどうなるのでしょう。

イゴール操作方法はJoy-Conに合わせて調整しますが、詳しくはお話しできません。
モーションセンサーについても言えないです。
もちろん、“TVモード”、“テーブルモード”、“携帯モード”でプレイできるようにサポートしますよ。
オンラインについては……まだ何も言えません(笑)。

――わかりました。
ちなみに、個人的にはどんなウインタースポーツを楽しんでいますか?
イゴール私はおもにスノーボードですね。
まれに山岳スキーをやります。
あと、パラグライドやっていたこともあり、それを通じてガールフレンドと出会いました(笑)。

ルノー基本は、スノーボードですが、たまにスキーもやりますよ。
スノーボードでスピードを出すのが大好きなんです。

――最後に、日本のファンにひと言お願いします。

イゴール『STEEP』では、プレイヤーがそれぞれ違うものを発見できます。
チャレンジでもトリックでも好きなことができるんです。
何を見つけるかは、プレイヤー次第です!
ルノー私たちがあちこちに散りばめた“愛”を見つけて楽しんでください。

●雪の音の再現ではクリスマスガーランドが大活躍! オーディオディレクターにインタビュー
――改めて、どういった担当をされているのか教えて下さい。

Francoisゲームのサウンドに関するすべての責任者です。
これには、BGMも作曲も含まれます。
自分では作曲しませんが、作曲家と連携して楽曲を作り上げていきます。
本作では、音楽に関しても地域の雰囲気が伝わるものにしたかったので、才能ある4人のミュージシャンとコラボしました。
彼らのグループの名は“ジカリ”と言います。
ゲームの仕事は初めてだそうで、おもにライブで活躍しているアーティストですね。

――“ジカリ”と組むことで、『STEEP』の世界観もより明確になった?
Francoisそうですね。
本作のために作曲をしてもらいました。
アルプスの7つの地域に、それぞれ異なる雰囲気の音楽を使っています。
ちなみに彼らは、ハングドラムという楽器を使って演奏しているのですが、本作の世界観にぴったりの楽器でした。
ハングドラムはスティールドラムのような感じの楽器ですが、暖かい音と冷たい音が出せるので、冷たい音で氷や危険を表現し、暖かい音で快適さを表現するんです。
そのほかにも、クラリネットのようなマウスピースが特徴の“Duduk(ドュドュック)“という笛も使っています。
ほかには、“チャレンジ”で流れる楽曲には、音楽レーベルからたくさんの音楽を送ってもらい、『STEEP』の世界観に合うものをセレクトしていきました。
まだリリースされていない楽曲も多く含まれていて、最終的には1000曲ほど集まりましたね。
そこから30トラックを選ぶのには、とても長い時間がかかりました。
ジャンルはロック、エレクトロ、e-POPの3つに絞っています。

――1000曲とはすごいですね。
楽曲の選曲にあたって気をつけたことは?
Francoisオリジナリティーを大事にしました。
ただ、音楽だけを聴くとよかったものでも、ゲームに合わせてみるとうまくいかないこともありましたね。
選曲にあたっては、すべての担当ディレクターと話しながら進め、チームの意見も聞きました。
アンケートを取ってスタッフみんなに意見を聞いたので、視野が広くなりましたね(笑)。
最終的な選曲はイゴールといっしょに行いました。

――長い時間とのことですが、どれくらいの時間がかかったのですか?
Francois最初に音楽レーベルにゲームのプレゼンをしてからだと、最終的には8ヵ月かかっています。
ゲームを紹介して音楽が送られてくるまでに1ヵ月を要し、選曲して必要であれば、別のバージョンを送ってもらいました。
各トラックが決まったら、“フリー・スタイル”や“レース”など、5つの“チャレンジ”にそれぞれプレイリストを作りました。
“レース”では、スピード感が溢れて気分が高揚するロックを、“フリー・スタイル”では落ち着いたクールなエレクトロやe-POPを多く使っています。

――ちなみに、好きな曲を教えていただけますか?
FrancoisBrothers and Sisters の『Here It Comes』がお気に入りです。

――おお、私も『Here It Comes』が好きです。
では、ダウンロードコンテンツが増えるに従って、曲も増やしていくのですか?
Francois“アラスカ”が終わってからになりますが、新しい音楽を加える予定です。
何曲になるかな……まだ言えません(笑)。

――環境音の制作も担当されたのでしょうか?
Francois雰囲気作りの音と効果音を作りました。
本作では、山をゲームの“メインキャラクター”にしたかったので、山が呼吸していて怒りや幸福感、恐れや羨望の感情が伝わってくるよう“山の音”も作りました。
7つの異なる地域で、違う感情が得られるんです。
たとえば、モンブラン山頂へ行くとゴッドマザーの囁きのようなものが聴こえて、暖かい感じに包まれてリラックスできます。
一方で、マッターホルンは性格が荒くて、あたかも「山から出て行け!」と言われている感じがするはずです。
そして、「難しいライドにトライしろ!」と挑戦してくるんです。
実際にライオンの声が聴こえたりして、恐怖を感じます。
“雰囲気の層”を積み重ねることで、“山にいる”という実感を持ってもらえるんです。

――では、実際に山の音を収録したり?
Francoisそうですね。
雰囲気音は、実際にここから近いシャモニー=モン=ブランにハイキングに行って収録しました。
森林や風の音などを収録して、それをゲームで再現しています。
これは大きな取り組みでした。
プロジェクトを始めたときに、山の効果音を探したのですが、自分がほしいものではなかったので、実際に山に入っていろいろと収録しました。

――滑降時の音はどうですか?
Francoisスキーヤーといっしょに山に行って、実際に滑ったりジャンプをしてもらって収録しました。
ただ、それだけでは十分ではなかったので、スタジオで音を足しました。
実際に滑っても、ゲームで流れているような大きな音はしないのですが、頭の中では“大きな音が発生している”と想像するんですね。
ゲームでもプレイヤーが期待するような音を作りたかったんです。
そこでいろいろと試行錯誤した結果、発泡スチロールのボールを用意して、クリスマスガーランドを中で動かしたところ、雪の上を滑るときの音を作ることができました。
溶けていく雪は、紙コップの周りを指でなぞることで表現しました。
もちろん、その後音を調整しなければならなかったですけどね。

――発泡スチロールの中にクリスマスガーランドですか! たしかに発泡スチロールはかたい雪を踏んだときの音にいているような……。

Francois発泡スチロールは雪の音に近いのでは……と思っていたんですよね。
スタジオにちょうどクリスマス ガーランドがあったので試してみたのです。
ほかにも、砂を入れてみたりといろいろと実験してみました(笑)。
想像力をたくましくしないといけないし、恐れずに何でもやってみることですね。

――ちなみに、“アラスカ”が追加されるということで、現地まで音を取りにいったりしたのですか?
Francoisアラスカはちょっと遠過ぎますね(笑)。
シャモニーにも氷河はあるので、環境音は録れます。
そでれも、アラスカのドキュメンタリーはたくさん見ましたよ!
――風の音についてはどうですか?
Francoisもちろん、風の音も重要です。
大部分は合成音ですが、単調にならないようにさまざまな風の音を作りました。
また、GoPro(探検での撮影向けヘルメットカメラ)のマイクロフォンで収録した音も使用しています。
本作はGoProユーザーも意識して制作されているので、GoProユーザーは「ああ、GoProの音だ!」と快適に感じてくれるだろうとの判断からです。
かなり強い音なのでスタジオ内でも反対意見がありましたが、本作をプレイするであろうユーザーたちの嗜好を認識することは大切なことです。

――音はスピードを実感させるための重要な要素ですね。
あくまで自然な感じを失わず、合成音と風の音を重ねるのは大変では?
Francois風の音は、プレイヤーがスピードを知るおもなフィードバックとなります。
高いところにいると、視覚に入ってくるものでスピードを知ることはできないのですが、音は聴こえます。
スピードが上がると風の音が大きく騒がしく、飽和した感じになりますが、スピードを落とすと、より快適な音になるんです。
また、本作では近くにオブジェクトが迫ってくると感知するシステムがあります。
音で、何かが左右を通り過ぎたことがわかるんです。
とくに、5.1chサラウンドシステムでプレイしていると、サウンドが上下に分かれて臨場感がありますよ。

――やっぱりプレイには5.1chなどといった立体音響でプレイするのがオススメですか?
Francoisそうですね。
でも、性能のよいステレオなら大丈夫ですよ。

――わかりました。
最後に、日本のファンに向けてひと言お願いします。

Francoisこのゲームを作るのは、とても楽しかったです。
ゲームをプレイして“ポジティブ”な気分になっていただけたらうれしいです。
『STEEP(スティープ)』をプレイする多くの人たちが、好きな曲を集めてプレイリストを作って共有してくれているのですが、とても素敵なことです。
プレイヤーの皆さんが私たちにメッセージを送ってくれるんです。
このような経験ができるのはすばらしい。
これからも新しいコンテンツをお届けしていきます!


Category: ゲームニュースまとめ

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