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世界最大規模のeスポーツ大会「Intel Extreme Masters Sydney 2017」がシドニーで開催

 【08//2017】

世界最大規模のeスポーツ大会「Intel Extreme Masters Sydney 2017」がシドニーで開催


世界最大規模のeスポーツイベント「Intel Extreme Masters(以下、IEM)」が5月6日、7日の日程でオーストラリアシドニーにて開催された。


IEMは世界最大手の半導体メーカーであるIntelと、グローバル規模でeスポーツビジネスを展開するESL(Electronic Sports League)がタッグを組み、毎年、様々な都市、異なるタイトルで世界大会を行なうという他に類を見ないeスポーツイベント。

過去にはWorld Cyber Games(WCG)やCyberathlete Professional League(CPL)など世界中で様々なeスポーツイベントが存在していたが、そのほとんどはスポンサーの撤退や競技種目の衰退などによって大会そのものが無くなっており、第三者によるeスポーツイベントの継続の難しさを感じさせてくれる。
IEMはそうした乱立期を潜り抜けて現在まで成長を続けている稀有なeスポーツイベントだ。

その歴史は長く、2007年からスタートしており、今年でシーズン12を迎える。
日本でポピュラーな競技種目が少なかったり、日本ではホストされたことがないため、eスポーツイベントとして日本ではまだあまりメジャーな存在ではないが、単体での開催規模、開催実績、歴史、扱ってきたタイトル数、どれをとっても世界最大規模のeスポーツイベントだ。

今回、インテルの厚意でIEM観戦ツアーに参加する機会に恵まれたので、そのインパクトの一端をお届けできればと思う。

■そもそもIEMとは?
IEMのユニークな点は色々あるが、ひとつはメーカー主催のイベントではないため、競技種目が多種多様なところだ。
タイミングやトレンドによっても変化し、ホストシティによっても変わる。
例えば昨年韓国で行なわれた京畿道大会では「League of Legends」と「Starcraft II」、「Overwatch」の3種目だったが、今回のシドニーでは、「Counter-Strike Global Offensive」1種目のみとなっている。

今回会場となったシドニー郊外にあるQudos Bank Arenaは、シドニーオリンピックに合わせて建設されたオリンピックパーク内にあるコンサートホール。
著名なミュージシャンのコンサートも行なわれる一流の施設で、収容人数は1万人弱。
担当者によればモニターを見られない角度の席は排除し、7,000人ぐらいが収容できる環境を整えたという。


今回は関係者以外立ち入り禁止のバックヤードも視察することができたが、選手の控え室、オペレーションルーム、メイクアップルーム、VIPルームなど無数の部屋が並び、複数の関係者が絶えず慌ただしく行き交うなど、日本とは比べものにならないほど巨大なショウビジネスになっていることを伺わせる。

メインとなるメインステージの他にも、複数のイベントフロアが用意されており、インテルの最新プロダクトのデモ、協賛PCメーカーの展示エリア、そして現地のパートナーの展示スペース、さらにはコミュニティが独自に大会を開催できるスペースまで用意されており、観戦だけでなく、体験や大会参加など様々な形でeスポーツが楽しめるイベントとなっている。


イベントフロアのひとつエキスポホールでは、MSI、ACER、ASUS、LENOVOなどの協賛メーカーが最新ゲーミングPCをプレイアブル出展し、今回の競技種目である「CSGO」やVRコンテンツなどを体験することができた。
時折、メーカーがスポンサードしているチームのメンバーがブースを訪れ、撮影会や対戦会が開催されたり、各チームにサイン会の時間が用意されているなど、選手と触れ合うチャンスが多く、選手との距離が近い点も好印象を持った。


コミュニティルームでは、コミュニティ主催の「SMITE」のトーナメントが開かれていたほか、小さなコンパートメントに10社近くのローカルメーカーが所狭しと自作パーツや、完成済みのオリジナルゲーミングPCを展示していた。
オーストラリアのトレンドは、クリアケースにピカピカに光る水冷システムで、この辺は日本の秋葉原で見られる風景とあまり変わらない。
ゲーミングPCのトレンドは、どの国でもそれほど変化はないようだ。

■IEMに見る“eスポーツ大国”オーストラリア
さて、肝心の試合については、6日はセミファイナル2試合、7日はファイナル1試合が行なわれ、筆者もその一部を観戦することができた。

筆者は国内外で「League of Legends」や「World of Tanks」、「Overwatch」などの大会を観戦した経験があるが、実を言うと「CSGO」の国際大会を観戦するのは今回が初めてだ。

と言っても「CS」自体の観戦は、十数年前に「Counter-Strike 1.6」の時代にWCGの取材で何度か経験がある。

当時「CS1.6」のチーム戦は衝撃的だった。
当時オンラインマルチプレイといえば、1on1かフリーフォーオールが当たり前だった時代に、5対5のクラン戦という概念を導入し、瞬く間にeスポーツの王者にのし上がっていった。

「CS」は日本でも人気のタイトルであり、無数のクランが生まれ、4dimensioNのように世界で戦える実力を備えたプロチームも誕生した。
その後、「CS」そのものの衰退、eスポーツタイトルとしての「CS Sourse」の失敗、「CS」に影響を受けた「Sudden Attack」や「Special Force」といったオンラインFPSの台頭、それに伴うプレーヤーの流出、分散などが相次ぎ、eスポーツシーンにおける「CS」一強の時代は幕を閉じる。

筆者がキャッチアップしていたのはそこまでで、その後、2度目のリメイクとなる「CSGO」が2012年に登場し、カスタムスキンシステムで商業的に成功しているのは把握していたが、eスポーツタイトルとしてここまで盛り上がっているとは知らなかった。

会場は始まる前から凄い盛り上がりだ。
コミュニティリーダーらしき人物の掛け声に多くの来場者が声を合わせ、試合前から一体感が生まれている。
かけ声には色んなパターンがあったが、中でも人気が「オジオジオジ!」。
前振り無しでいきなり始めても過半数が声を合わせてくる。
そのほか、歌を歌ったり、手拍子、足鳴らしなど様々な手法で盛り上がっている。
客席だけで勝手に盛り上がるというのは日本にはまったく見られない風景だ。

また、多くの来場者はビールを手にし、ワイワイ楽しんでいる。
試合が長引くにつれて2杯、3杯とおかわりを重ね、中にはひいきではないチームの応援をしている客席にヤジを飛ばして、スタッフに怒られている若者もいたぐらいだが、オーストラリアの飲酒解禁は18歳ということで、日本とはまた少し感覚が異なるものの、eスポーツが大人のエンターテインメントとして定着していることを感じさせる。

今回シドニー大会までコマを進めたクランは、実績のある8チームによるリーグ戦で勝ち抜いた4チーム。
その中にオーストラリアのクランは含まれていないのだが、初日のセミファイナルの段階からほぼ満席の状態だ。
それぞれひいきのチームがあり、それぞれ別の所からかけ声が挙がる。
2人抜き、3人抜きといったスーパープレイにはひいきのチーム関係なく惜しみない歓声が送られる。
オーストラリアは“eスポーツ先進国”と言われ、ESLのAPAC のヘッドクォーターがあるのもここシドニーで、多くのゲーム関係者がオーストラリアで大会をしたいというほどだが、その理由もわかる気がする。




■懐かしのCS1.6を思い出させてくれた「CSGO」日本での盛り上がりに期待
十数年振りに「CS」の試合を観戦していて感じたのは、時代に合わせて進化しているところもあれば、驚くほど変わっていない部分もあるということだ。

まず進化しているところは、観戦モードのゲーム画面が見やすく分かりやすくなっているところだ。
両チームのHP、武器、トップビューの状況がわかるミニマップ、両チームのリアルタイム映像などが追加表示され、各チームの状況がメインモニターだけでわかるようになっている。
サブモニターには、各選手の顔写真とHP、そしてトップビューの状況がわかるマップが表示され、常に選手より多い情報を持ちながら、快適に観戦が楽しめる。


メインとなるゲーム映像についても、観戦モードだけは、障害物の有無にかかわらず敵の姿がシルエットで見えるようになっており、観客だけは会敵のタイミングがわかるようになっている。
これが非常におもしろい。
特にスモークグレネードの煙幕を挟んで両軍が対峙するような状況は見物で、超近距離に4~5人がいて、観戦者だけその動きがわかるため、見ていてハラハラする。
敵の位置を予想してナイフを繰り出す選手もいれば、アサルトライフルを煙幕に向けて撃ちまくる選手もいて、煙幕を挟んだバトルは「CSGO」の大きな見所になっている。

細かいところだと、試合前にマップのバンピックが公開されるようになった。
各チームが何を選んで、何をバンしたのか、客席はそれだけで大盛り上がりになる。
こうした進化点については、「CS」以降に生まれたeスポーツタイトルから多くを学んでいるようで、「CS」という名前のクラシックさとは裏腹に、最新のeスポーツタイトルといっても過言ではないように思う。

逆に変わってないなと感じたのは、「CS」本来の醍醐味である打撃感や展開の早さだ。
スナイパーライフルやピストルで出会い頭に、ズドンとヘッドショットを決めたり、アサルトライフルで1マガジンで2キル、3キルを決めると会場は大いに盛り上がる。
ナイフにすると移動速度が上がるのもそのままで、ナイフで高速移動し、ギリギリのところでスナイパーライフルに持ち替えて、敵が出てくる手前でストッピングして敵をズドンと一発で仕留めるという、「CS」らしいスピード感のある試合展開が至るところで繰り広げられた。

3連勝、4連敗は当たり前という、試合の“流れ”があるところも変わっていない。
「CS」は、バトルの戦果によってマネーを獲得し、それによって武器を買うというシステムになっているため、マネーのない1ラウンド目は、双方がピストルだけで戦う“ピストルラウンド”というものがある。
このラウンドに勝った方は、次のラウンドで、獲得したマネーでアサルトライフルやスナイパーライフルなどお目当ての武器を購入できるため、有利に戦いを進められる。
逆に負けた方は資金が足りず、ピストルラウンドが継続され、不利な状況で戦いを強いられる。

重要なのは、システム的に強制的に有利不利を付けることで、意図的に流れを生み出しているところだ。
連勝すると装備的にも心理的にも勢いに乗り、さらに連勝街道をひた走ることもあるし、逆に不利な状況で勝利できると、流れが一気に逆転する。

試合ルールは「CS」ではお馴染みの「de(Demolition)」と呼ばれる爆弾解除モードで、テロリスト側は爆弾を設置し、爆破させれば勝ち、カウンターテロリスト側はそれを食い止めれば勝ち、あるいは敵を全滅させても勝ち、というシンプルなルールだ。
「CS 1.6」の時代は爆弾のギミックはあまり使われておらず、実質的にはチームデスマッチに近い試合展開だったように記憶しているが、「CSGO」では、どのチームもかなり頻繁に爆弾を設置していた。
使い方は、有利なポイントから動かないスナイモ(芋虫のように動かないスナイパー)を動かすためだったり、単純に駆け引きの材料として使うケースもあり、戦いに更なるメリハリが生まれていると感じた。

その一方で、試合そのものはずいぶん長くなった。
30ラウンド制で16ラウンド先取で1ゲーム勝利となる。
1ラウンドは2分弱とはいえ、15ラウンドごと、1ゲームごとの休憩も含めると、1ゲームに軽く1時間以上は掛かる。
試合の長さには定評のある「League of Legends」とあまり変わらない長さになっている。

本大会では、セミファイナルは2ゲーム先取の3ゲームマッチ、ファイナルは3ゲーム先取の5ゲームマッチで行なわれた。
決勝まで勝ち進んだブラジル代表のSK Gaming、ヨーロッパ代表のFAZE CLANは実力伯仲し、互いにまったく譲らず、4ゲーム目までもつれ込む大接戦となった。
試合時間は5時間近くに及んだが、仕事も忘れて(そう、取材で来ているのである)夢中になって観戦してしまった。
eスポーツとしてのFPSの適性の高さもさることながら、eスポーツの本家本元的存在である「CS」の魅力を、十数年ぶりに再確認させられた気持ちだった。

ちなみにSK Gamingといえば、「CS 1.6」時代から存在するヨーロッパの名門中の名門クランで、「CS」といえばスウェーデンのSKか、米国のTeam 3Dかという時代が長く続いた。
その後SK Gamingはスウェーデン単独のチームから、グローバルで活躍する国際的なクランとなり、「CSGO」チームはブラジルのメンバーで構成され、当時と同じなのは名前だけという状況ではあるのだが、あのSKが、あのde_trainで、スモークグレネードからの奇襲攻撃で次々に敵をなぎ倒すシーンを観ていると、十数年前にタイムスリップしたような感覚に陥った。
これはまさに、「1985年のバックスクリーン3連発」をことある度に語りたがる野球ファンと同じ状況で、eスポーツがスポーツのひとつとして、そして筆者自身が20年選手のeスポーツファンとしていつのまにか成立していることの証しだと思う。

今年は、サードウェーブが自ら主催するeスポーツ大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP」で、「CSGO」を競技種目にすることを発表している。
予選はオンライン、決勝はオフラインで実施され、久々に「CS」のオフライン大会が日本で行なわれる。
詳細は6月発表ということで、休眠している多くの「CS」ファンにぜひクランを準備して大会に参加して貰いたいところだ。




Category: ゲームニュースまとめ

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