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『メトロイド サムス リターンズ』、13年ぶりの横スクロール『メトロイド』新作について、坂本賀勇プロデューサー&開発会社マーキュリースチームに聞く

 【27//2017】

『メトロイド サムス リターンズ』、13年ぶりの横スクロール『メトロイド』新作について、坂本賀勇プロデューサー&開発会社マーキュリースチームに聞く 


文・取材:編集部 世界三大三代川
●いままでにない『メトロイド』に
2017年6月13日~15日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催された世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2017”。
任天堂は、E3 2017の会期中にニンテンドー3DS用ソフト『メトロイド サムス リターンズ』を発表した。
『メトロイド サムス リターンズ』は、1991年にゲームボーイで発売された『メトロイドII』をベースに、ニンテンドー3DS向けにフルリメイクしたもの。
横スクロールアクションの『メトロイド』としては、13年ぶりの新作となる。
リメイクとは言うものの、オリジナル版は26年前のタイトルということもあり、グラフィックからアクション要素まで、あらゆるものを一新した、ほぼ新作と言える内容だ。

今回、本作のプロデューサーを務める、『メトロイド』シリーズの生みの親・任天堂の坂本賀勇氏と、本作の開発を担当するマーキュリースチームエンターテインメントのホセ・ルイス・マルケス氏にインタビューをする機会を得た。
『メトロイド サムス リターンズ』の開発のきっかけや、マーキュリースチームエンターテインメントが開発を担当することになった経緯など、新たに生まれ変わった『メトロイド』の新作について、たっぷりうかがった。
(聞き手:週刊ファミ通編集長 林克彦)
■プロフィール
任天堂
坂本賀勇氏(文中は坂本)
マーキュリースチームエンターテインメント
ホセ・ルイス・マルケス氏(文中はマルケス)
――横スクロールの『メトロイド』としては、13年ぶりの新作になりますが、その新作として『メトロイドII』のリメイクを選んだ理由など、今回の開発の経緯からおうかがいできますか?
坂本もともと、僕はずっと横スクロール『メトロイド』の新作を作りたいと思っていて、チャンスをうかがっていたんです。
それと同時に『メトロイドII』のリメイクもやりたいと考えていて。
『メトロイドII』はもとから携帯機向けのゲームだったし、ニンテンドー3DSなら、立体視や2画面表示など、いろいろな機能が『メトロイド』に向いているなと思っていたんです。
でも、いざ作るとなると、アイデアはあるけど、開発チームはどうするのかという問題が出て来る。
そんなときに、うちの海外子会社であるNOE(Nintendo of Europe)から、「スペインのマーキュリースチームエンターテインメントという会社が、“『メトロイド』のリメイクをやってみたい”と言っていたよ」と聞きまして。
実績などを調べてみると、『キャッスルヴァニア』などを手掛けていたということで相性もよさそうだと、いろいろな条件が噛み合いそうだったので、まずは会ってみようとスペインまで行ってマーキュリースチームさんを訪ねて、ホセさんとお見合いをして(笑)。
そうしたら、すごく真面目な方で、会社も実績があるので、これは大丈夫だということで、プロジェクトがスタートしたんです。

――では、新作の開発と言っても、初期から『メトロイドII』をリメイクするというのが念頭にあったんですね。
坂本はい。
じつは、『メトロイドII』のオリジナル版には、僕はまったく関わっていないんですよ。
ですから、自分の感覚でこれをどう料理しようか、どう解釈しようかと考えるのが楽しいというのもモチベーションが上がるところでした。
もともとのオリジナル版もよくできているんですが、いまの技術を足せばもっとよくなるだろうと。
そのときに、自分の感覚だけで足すのではなく、もっと違うものが足されたらいいなと思って、そういう意味でも、『キャッスルヴァニア』などのノウハウを持つマーキュリースチームさんとの相性がいいだろうと考えていました。
あと、ストーリー面で言うと、『メトロイドII』はベビーメトロイドとの出会いという、先のストーリーに深く関わってくるエピソードがあるわけで、これを語らないと、これから先の『メトロイド』シリーズのお話をわかってもらえなくなるかなと。
もともとのゲームもかなり古いものになっていましたし、いま改めてベビーメトロイドとのエピソードしっかり描くべきだなと思ったんです。

――いまのお話を聞いていると、坂本さんは先を見据えているように感じます。
このリメイクをきっかけに、『メトロイド』プロジェクトをどんどん進めようと思っているのでしょうか?
坂本僕は、2Dの可能性はまだまだあると思っていますし、新しいプラットフォームが出てきたときに2Dのゲームを作るという選択肢は、古い発想でもなんでもなく、選択肢のひとつとしてありえると考えています。

――なるほど。
では、機種としてニンテンドー3DSを選んだ理由は?
坂本携帯機で出した『メトロイドII』のイメージを踏襲したいというのと、僕がまだ2画面でサブスクリーンにマップを表示するという手法を手掛けたことがなかったので、それをやりたかったんです。
絶対に『メトロイド』と相性がいいと思っていましたし。
あと、大きいのが立体視。
『メトロイド』の演出には効果的なんですよ。
立体視の『メトロイド』は絶対にいいだろと思っていたんですが、実際に見てみると予想以上によかったです。

――たしかに、カットシーンがとくに印象的ですね。
坂本そのあたりは、マーキュリースチームさんのセンスが光っていますね。
通常のゲームプレイにおいても立体視が効果的に作用し、遊びやすさにひと役買っていると思います。
そういえば、3DSのニンテンドーeショップでトレーラーの3D映像版が公開されているので、どんな見えかたになっているか気になる方は一度ご覧いただきたいです。

――マーキュリースチームさんにもお話をうかがいたいのですが、以前から『メトロイド』を手掛けたいという思いがあったんですか?
マルケスもちろん、そうですね。

――坂本さんと初めてお会いしたとき、どんな話をされましたか?
マルケス最初は、どうコラボレーションをして、どうすればすばらしいリメイク作を作れるのか、そういったお話をしました。
これまでの『メトロイド』が築いた基礎システムをベースにしたうえで、新しいビジュアル、新しい機能をどう実装すれば、よりよくできるのか。
26年前にオリジナル版の『メトロイドII』を遊んだ方が、当時想像していたであろう世界を、現在の技術を使っていかに再現するのか。
その方向性などについてお話をしました。

――当時の気持ちを大事にする感覚はうれしいですね。
今回はフルリメイクということですが、たとえばマップの構造などは、オリジナルをベースにしているのでしょうか?
坂本もとのものを活かしていますが、マップにもさらにいろいろと追加をしています。

――今回、いろいろな新アクション、能力などが入っていますが、どういったところからアイデアを出していったのでしょうか?
坂本今回は“フリーエイム”と言って、自由な角度でショットが撃てるようになったんですが、これはもともとやりたいと思っていたんです。
これまでの2D『メトロイド』は8方向しか撃てませんでしたが、今回はスライドパッドでアナログ操作が使えるので、絶対にやらなきゃいかんと。
それは、任天堂からのアイデアで決めていました。
ただ、僕としては、マーキュリースチームさんに僕が言った通りに作ってもらうのではなく、アイデアをどんどん出してもらって、それを入れることでさらにおもしろくなるのであれば、積極的に取り入れたいと考えていたので、お互いにいろいろなアイデアを出したんですね。
その中で、マーキュリースチームさんから出てきたアイデアのひとつが、“メレーカウンター”だったんです。

――いろいろと話し合いながらアイデア出しをされたんですね。
坂本信頼はしていたんですが、いざプロジェクトが始まってしばらく経ってみると、僕らの想像以上に、マーキュリースチームさんがものすごく『メトロイド』のことを理解してくださっていることがわかって。
もし何かヘンな誤解があった場合は、まず話し合いをしてそこを解決してからでないとまとまりませんが、マーキュリースチームさんは、「『メトロイド』とはこういうものだ」とか「こういうものが必要で、これを足すべきだ」といった感覚が、的確に理解されていたので、すごくやりやすかった。
今回、いろいろな新システムを追加できた理由として、こういった土台があったことが大きいですね。

――もともと『メトロイド』が大好きで、リスペクトをしている人たちが作っているわけですからね。
マルケスはい。
うちのチームには、熱狂的な『メトロイド』ファンが多いんです。
机の上に『メトロイド』のおもちゃがいっぱいありますし、私も含めてチームの全スタッフが、『メトロイド』シリーズの全タイトルをプレイしています。
チーム全員が『メトロイド』のゲームのメカニズム、ゲームプレイの基礎のすべてを理解していると言えるくらいで、理解しているからこそ、何をいじったらいけないか、どこをプラスアルファすればいいのかもわかるんだと思っています。
坂本それが、本当に頼もしくてやりやすかったですね。
今回もこれまでのチームで作っていた『メトロイド』と同じように制作しているので、やりかたはほとんど変わらないんですが、海外の方はやはり違う感覚を持っていますし、『キャッスルヴァニア』を手掛けたからこそ出てくるアイデアが新鮮で、安心感を持ってやれるというのはよかったですね。

――では、開発は完全にマーキュリースチームさんが担当されていて、坂本さんが監修をしているというイメージなんですか?
坂本いえ、マーキュリースチームさんにお任せというのとはちょっと違っていまして。
プログラムやグラフィック、マップを作る人たちは実働部隊としてマーキュリースチームさんが担当されているのですが、任天堂側としては僕がプロデューサーという立場で「こうしよう」と大きい指示を出していて、さらにディレクターとサブディレクターがいて、ずっと『メトロイド』を担当している山本健誌たちのサウンドチームがサウンドを担当しています。
ですから、監修ではなく、これまでの開発スタイルと同じ、外部の制作会社さんといっしょに作る、ひとつのコラボレーションと言える大きなプロジェクトですね。

――開発がスタートしたのは、いつごろになるのでしょうか?
坂本冒頭にお話をした通り、ずっと2D『メトロイド』を作りたいと思っていたので、企画としてはかなり前からありましたが、実際にプロジェクトとしてスタートしたのは2年前ですね。

――ゲームのボリュームは、オリジナル版『II』と比べると増えているのでしょうか?
坂本そうですね。
増えていると思いますが、単純にプレイ時間が増えるということはなく、だいぶ遊びやすくなっているので、結果的にプレイ時間が短縮される部分もあると思います。
オリジナル版は地図もなく、難しかったですから。
ボリュームを上げつつ、遊び応えがあるけど、がんばれば必ずクリアーできるというバランスを目指しています。
さらに、いろいろな追加要素も入っていますから。

――メレーカウンターやエイオンアビリティなどの新要素は、プレイヤーの救済を担う面が大きい気がしますが、意図的にそういった要素を増やしたのでしょうか?
坂本いえ、結果的にそうなっていますが、救済のための要素として入れたわけではありません。
サムスと言うと、遠くから攻撃できるけど突撃に弱いというイメージがあると思います。
でも、それがメレーカウンターで反撃できるようになるのはおもしろいなと。
メレーカウンターは工夫しだいでいろいろな使いかたができて、上下のスクロールアクションでよくある、下に降りたら敵がいたというときなどの咄嗟の反撃にも使えますし、メレーカウンターをしながら降りれば、安全に降りられます。
あと、カウンターは当たらなくても敵が近づいて来られたときにイヤだなと思ってメレーカウンターを使えば、距離が取れますから。
こんな感じで使える場面のイメージがすごく膨らんで、これはいい提案をもらったなと思いました。

――メレーカウンターのアイデアを提案した理由は?
マルケスプロジェクトの当初から、「どんどんアイデアを出していいですよ」と言われていたので、マーキュリースチームとして、自分たちが持つ『メトロイド』の知恵を活かして、『メトロイド』にふさわしいものをどんどん提案しようと考えていました。
そういったアイデアをいくつも出して、坂本さんたちに見ていただいて、フィードバックを受けながら磨いていって、実現していったんです。
その中でも最初に出したアイデアがメレーカウンターでした。
『メトロイド』シリーズは敵に攻撃されたときに一瞬動けなくなってしまいますが、そのピンチになる瞬間に反撃をすれば、大きなダメージを与えられるようになるという発想で提案をしました。

――ほかにマーキュリースチームから提案したものはありますか?
マルケス攻撃方法のほかにも、ミサイルを利用したりするインタラクティブなオブジェクトなど、いろいろな試作をして、提案をしましたね。
坂本ホセさんは、あまり自分の手柄のように言わないようにしているのかもしれませんが、じつはエイオンアビリティの概念などもマーキュリースチームさんから出ているんですよ。
エイオンアビリティはこちらからもいろいろと要望を出して試行錯誤をしてもらいましたが、もともとマーキュリースチームさんのセンスがよく、土台がしっかりしているので、基本部分はブレずに採用することになりましたね。
マーキュリースチームさんの提案の中で、「今回はやめましょう」と採用を見送ったものもありましたが、でも、採用のヒット率は高かったです。

――なるほど。
今回のフルリメイクに合わせた調整としては、『メトロイド』らしい歯応え、探索やパズル的な部分の楽しさは残しつつも、遊びやすくするといった方向性でしょうか?
坂本そうですね。
どれもこれまでの『メトロイド』でやってこなかったものになっています。
前にもお話をした通り、『II』はもともと自分が作っていたものではないので、イタズラ心もあって、これまでと違うものをやってみたらどうだろうとは思っていたんです。
ただ一方で、「『メトロイド』シリーズでこういう要素を入れていいのか?」と二の足を踏んでいるところもあって。
そんなところに「こういうのどうですか?」と、マーキュリースチームさんを始め、『メトロイド』をわかっているスタッフが新しい提案をしてきてくれたので、「じゃあ入れてみて、おもしろかったらやるけど、ダメだったら外そう」という感じで気楽に新しいことにチャレンジできて、しかもいい方向に調整できたので、すごく手応えを感じました。

――その結果として新しい『メトロイド』になったと。
坂本はい。
やるなら新しい『メトロイド』にしないと意味がない、と思っていたので、おおらかにチャレンジできたのもよかったですし、おおらかにさせてくれるチームと組めたのもよかったですね(笑)。

――あと、ゲームまわりの細かい部分もお聞きしていきます。
まず、今回新たなamiiboが発表されましたね。
坂本サムスとメトロイドですね。
サムスのポーズは『II』のパッケージと同じ構図になっているんですよ。

――メトロイドは柔らかい素材というのがおもしろいですね。
坂本ぷにょぷにょなんです(笑)。
amiiboを作っているチームが、こういう素材にチャレンジしたかったんでしょうね。
仕上がってきたものがいいデキで気に入っています。

――amiiboは、ゲーム中でどういう効果を発揮するのでしょうか?
坂本これから発表になるのでまだ言えないんですが、ゲームの進行で効果を発揮するものなど、複数の種類がありますよ。

――あと、今回ロゴが変わりましたよね。
イメージを刷新する狙いがあるのでしょうか?
坂本これまでの古さを抑えて、硬派でメタリックなイメージにしました。
これも、内部のスタッフから提案をしてもらったんですが、スッと気に入りましたね。

――今回『メトロイドプライム4』も発表されましたが、坂本さんが関わっているのは2D側のみなのでしょうか?また、今後の『メトロイド』の流れは、2Dと3Dを走らせていくんでしょうか?
坂本僕は2D側ですね。
2Dと3Dの同時並行というのは、いま現在がまさにそうなっています。
『メトロイドプライム4』は、3Dのノウハウを持っているプロデューサーがつぎの可能性を求めてやっていますし、僕はまた2Dの可能性を求めてさらなるチャレンジをしたいと思っています。
今回、ものすごい手応えがあって、2Dを懐かしいゲームとして考えるのではなく、『メトロイド』はこういう遊びだというものを再定義して、リスタートできたと思っています。

――それは楽しみです。
いまの開発の状況は?
坂本もうゴール目前ですね。
通しでも遊べるようになっていまして、そういう状態だからこそ、自信を持って言えるなと。

――では、最後にマルケスさんからも、これまで作ってきた手応えを教えていただけますか。
マルケスあまり言葉に現すことができないくらい興奮しています。
約2年間開発してきて、いろいろな苦労がありましたが、いちばんベストな『メトロイド』ゲームができたのではないかと思います。
これまでになかった体験を、これから『メトロイド』を知るファンに提供できたと思いますし、『メトロイド』シリーズファンにも十分に満足していただけるものができたと思います。
自分たちが任天堂とコラボをして、自慢できる作品を作り上げることができたという自負もありますので、ファンの方々、ゲーマーの方々に楽しんでいただきたいと思います。

――いまの時代に、2D『メトロイド』のベストと呼べるものができるというのはいいですね。
坂本そうですね。
ホセさんは、いまも喜んでくれているのでホッとしていますが、もう開発終盤だと言うのに、「ここ、変えられない?」みたいな「いまそれ言うか!?」っていうことも、僕らは平気で言いますからね(苦笑)。
言葉にならないくらいビックリしたと思うんですが、ここまで『メトロイド』をわかって大事にしてくれているからこそ、厳しいけど伝えてそれを直してもらって、もっとよくなるという、とてもいいプロジェクトになったなと思います。
ぜひご期待ください。


Category: ゲームニュースまとめ

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