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今年の「EVO 2017」、「ストリートファイターV」部門はあまりにもドラマティックでとにかく最高だった話

 【19//2017】

今年の「EVO 2017」、「ストリートファイターV」部門はあまりにもドラマティックでとにかく最高だった話


この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。
毎週、水曜日に掲載予定。
ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。
新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。
そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。


いやぁ、最高でしたね。
あれだけの物語、しかもノンフィクション。
あんな素晴らしいもの滅多に見られるものじゃないです。
あの流れ、あのドラマは、エンターテイメントとして見ても最高のものだったと思います。

見た人はもう何のことか言わなくてもわかってもらえるのではないでしょうか?
そう、格闘ゲームの祭典「EVO 2017」です。

日本時間の7月15日~17日にかけて様々なタイトルのトーナメントがラスベガスで行なわれ、世界一が決まっていったわけですが、いやぁ今年も熱かったです。

でも最後には今年の「EVO」が本当に忘れられなくなるようなすごいドラマが待っていたんです。

最後の種目は例年通り、格闘ゲームの象徴とも言える「ストリートファイター」シリーズからの「ストリートファイターV」部門。

今年のファイナリスト8人には、日本人選手が5人も残るという快挙の一方、残る3人はアメリカの選手という、日本VSアメリカみたいな構図であり、開催地は当然ラスベガスなので会場の多くのファンの人は母国アメリカの選手が優勝するのを期待しまくり、ボルテージ上げまくりという、恐ろしい展開になっていました。

そしてその中でダントツの優勝候補、世界最強とされていたのがアメリカのPunk選手。
あまりの反応の速さ、正確無比なプレイに、「高難易度設定で超反応してくるCPUみたい」と、ようするに人間じゃない扱いされるほどに強い。

Punk選手はこの日も全くつけいる隙を見せないままにグランドファイナルまで勝ち進み、そのあまりの強さに、日本人選手を応援していた日本のファンの間にも、これはもうPunk選手の優勝だなという納得を伴った絶望感が漂っていたように思います。

一方、ルーザーズサイドで激戦に次ぐ激戦を戦って、少しずつウィナーズサイドで待つPunk選手に迫っていったのが、日本のときど選手。

ときど選手はプロゲーマーとして長く活躍されていて、これまで多くの大会やシーンを盛り上げてきた選手ですので、格ゲーシーンをそれほど追っていないという人でもご存じの人は多いのではないでしょうか。
それだけに、長くときど選手を知っている格ゲーファンとしては思い入れも物語もあるプレーヤーになっていますよね。

そんなときど選手、ルーザーズサイドから勝ち上がっていくなか、死闘に次ぐ死闘を繰り返していきます。
個人的にはアメリカのダルシム使いFilipino Champ氏にリーチをかけられてからしのぎにしのいで逆転したあたりから、今年の「EVO」が「ときど選手の日」になり始めたのではと思えます。

そこから、同じ日本人選手の板橋ザンギエフ選手とも会場が怒号に包まれるほどの死闘を繰り広げ、さらにかずのこ選手にも勝利して、グランドファイナルでPunk選手に挑戦するところまで上り詰めます。

そんな中、アメリカの伝説的なプレーヤーJustin Wong氏がTwitterで「ときどはPunkを倒せるかもしれないただ1人の人間だ」とつぶやいたのが話題になっていくんですよね。

伝説的なプレーヤーの言葉は、まるでこれから起きる出来事を予言するかのよう。
何かが起きるかもしれないという予感、高まる期待。
それでも、あの強さのPunk選手には勝てないのでは……という絶望に近い逡巡。
それでも勝って欲しいという応援する何万人もの人の願いが募っていきます。

ルーザーズサイドから決勝に上がってきたときど選手は、Punk選手を相手に3セット先取のマッチを1度勝利しないと五分にならないという、1試合分のビハインドが課せられます。
それまでほとんど隙を見せず完封勝利を続けているPunk選手に2試合分勝たなければいけない。
そんな、この日に世界で1番困難なこととすら言えることに、ときど選手は挑んでいきます。

始まったグランドファイナル、ビハインドの試合は、互いに1ラウンドずつを交互に取っていくような一進一退。
それでも、ときど選手の豪鬼の攻め手と揺さぶりの豊富さ、投げすかり距離での絶妙なウロウロ誘い、そしてとてつもない我慢強さ。
そのプレイに、だんだんとPunk選手の表情が変わっていきます。

“本当に何かが起きるかもしれない”という予感が少しずつ現実味を帯びてきて、高まり続けるボルテージ。
互いに残りわずかな体力のなか、弾抜けを警戒してずっと撃たずにいた豪波動がクリーンヒット! 3試合勝利でビハインドをリセット! 次に3試合先取した方が優勝という五分の状態に。

ルーザーズサイドから激戦を勝ち抜き魅せてきたときど選手への応援の声、そして母国アメリカ選手の優勝が見たいとPunk選手を応援する声、絶望的なところから少しずつ高まっていった期待と願い。
Justin Wong氏の予言じみた言葉。
全てが混ざり合って、会場も世界中が見つめている配信もとつてもないテンションへと高まっていきます。

……もう、こうして書いているだけでも思いますけど、オペラか何かなのかっていう感じですよね。
英雄の物語ですよ、これ。
大観衆の期待と願い。
そのぶつかりあい。
母国の維持を背負った最強の存在と、それに挑むため強敵とのいくつもの死闘をくぐり抜け、自分を覚醒させてきた英雄の物語。
万が一たどり着ければ奇跡が起きるかもしれないと言わんばかりの予言。
今年の「EVO」が生んだドラマは、最高のエンターテイメントでした。

そうして迎えたビハインドなし正真正銘最後のグランドファイナル。
会場を揺るがすような大歓声が包むなか、ときど選手の勢いは止まりません。
Punk選手も随所で怪物じみた反応と速さのプレイを見せるのですが、自身のプレイと選択に強さがみなぎっているときど選手と、崩され揺らいでいるPunk選手の精神状態が見ているだけでも伝わってくるかのよう。

その流れは変わることなく、3-0でときど選手が優勝! 決まったその瞬間、まさに奇跡と伝説の目撃者となった会場は、すさまじい歓声に包まれました。
おそらく配信を通して見ていた世界中が興奮の最高潮に達したことと思います。
そして、「すごいものを見た!」という気持ちでいっぱいだったのではないでしょうか。

とまぁ、「EVO 2017」の「ストリートファイターV」部門はこのような、すさまじいエンタメ性に満ちたドラマを生み出し、それを見た僕はものすごい感動しましたし、このコラムを書くまでに配信のアーカイブをたぶん10回以上は見てますし、っていうか今もこれ書きながら見てますし、今もまた感動してます(笑)。

プレイで最高のエンターテイメントを生み、シーンを作り上げていく。
最強を超えた、まさに最高のプロですね。

毎年「EVO」を見ると「あぁ、やっぱり格ゲーの熱気、最高だなー」って思うのですが、今年はもう格別なものがありますね。
こんな素晴らしいものを見られて、本当にね。
もう最高ですよ。

見ていないという人もぜひ、このアーカイブはぜひとも見てもらいたいです。
これだけのもの、本当になかなか見られませんから。

EVOJapan01のライブビデオをwww.twitch.tvから視聴する
ではでは、今回はこのへんで。
また来週。


Category: ゲームニュースまとめ

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